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浦和地方裁判所 昭和32年(行)11号 判決

原告 長谷川サダ

被告 川越税務署長

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の申立

原告訴訟代理人は「被告が原告に対し昭和三一年六月一〇日付納税告知をもつてした原告の昭和三〇年分総所得金額を金三一九、五〇〇円、所得税額を金二六、五〇〇円、過少申告加算税額を金一、三〇〇円とするとの更正処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告指定代理人は主文同旨の判決を求めた。

第二、当事者の主張

一、原告の請求原因

(一)  原告は、川越市小室町五八八番地において農業を営むものであるが、昭和三一年三月一五日、被告に対し昭和三〇年分所得の確定申告として総所得金額を一二三、九三〇円(内訳農業所得金一二〇、九七五円、不動産所得金二、九五五円)所得税額零と申告したところ、被告は、昭和三二年六月一〇日右総所得金額を金三一九、五〇〇円と改め、これに伴い昭和三〇年分所得税額を金二六、五〇〇円、過少申告加算税額を金一、三〇〇円と更正し、同日これを原告に通知した。そこで原告は、同月二八日被告に対し再調査の請求をしたが、被告はこの請求を棄却し、昭和三一年八月一八日この旨を原告に通知した。原告は、これに不服で同年九月一〇日関東信越国税局長に対し審査の請求をしたが、同局長はこの請求を棄却し、昭和三二年七月三日この旨を原告に通知した。

(二)  しかし、原告は昭和三〇年分の所得は、原告の申告した金一二三、九三〇円を超過していない。したがつて被告の右更正処分は違法であるからその取消を求める。

二、被告の答弁

(一)  原告の昭和三〇年分の所得が、金一二三、九三〇円を超過していないとの事実は否認するが、その余の事実は認める。

(二)  本件更正処分は次のとおり適法である。

(1) 原告が、昭和三〇年分所得についてその主張のような確定申告をしたので被告が調査したところ、原告の耕作反別及び昭和二九年分所得の確定申告による所得金額が金三〇六、五二八円であつたことからみて、昭和三〇年分の原告の申告所得は著しく低額で到底是認しがたいものであつた。

そこで更に調査したところ、原告は所得金額の計算上必要な帳簿、書類は全く備えず農業経営に必要な耕作日誌すら記載していないため、その所得実額を把握することが困難であつたので、所得税法第四五条第三項に従い、後記のように原告の種類別耕作反別等に農業所得標準を適用して、原告の昭和三〇年分所得金額を推計した。

(2) 種類別耕作反別及び副業所得の基本員数

(1) 原告が昭和三〇年分において耕作した種類別反別は次のとおりでその内訳は別表(一)のとおりである。

水稲  一町一畝二歩

裏作  五反七畝七歩

普通畑 四反二畝二二歩

桑畑  五反二九歩

茶畑  二畝二一歩

(2) 原告は副業として養鶏を営み、同年は成鶏の雌を少くとも二〇羽飼育していた。

(3) 農業所得標準

農業所得標準とは、所得金額の計算に必要な帳簿書類を備えていない農業経営者の所得金額を計算するために、税務署において地域別にその地域における中等度の相当数の農家を対象として各農産物について、その収入及び通常の経費などを調査し、その作物の一反当りの収入、通常経費などの詳細を算出し、一反当りの所得を計算したものであり、川越税務署管内の昭和三〇年分農業所得標準のうち、原告の耕作地及び副業に適用した標準は次のとおりである。

区分      収入金      経費     所得標準

水稲(一反当り) 二三、八九七円  六、二一三円 一七、六八四円

裏作(〃   )  八、五一四円  四、四六七円  四、〇四七円

普通作(〃  ) 二六、〇五一円  八、〇一一円 一八、〇四〇円

桑畑(〃   ) 三七、八八一円 一六、六九五円 二一、一八六円

茶畑(〃   ) 二七、五〇二円 一三、一二七円 一四、三七五円

養鶏(十羽当り) 一八、五一四円 一四、五〇五円  四、〇〇九円

こゝに経費は、前記のとおり普通の農家に共通する経費のみであるので、この標準を適用するに当つては牛費等の特殊な経費は標準外特別経費として所得金額から控除しなければならない。

(4) 所得

(1) 農業所得

原告の種類別耕作反別及び副業所得の基本員数に各農業所得標準率を適用し標準外特別経費を控除して原告の農業所得を計算すると次のとおりである。

(A) 耕作物の所得

区分   耕作反別    所得標準    所得金額

水稲  一〇・一反  一七、六八四円 一七八、六〇八円

裏作   五・七反   四、〇四七円  二三、〇六七円

普通畑  四・二七反 一八、〇四〇円  七七、〇三〇円

桑畑   五・〇九反 二一、一八六円 一〇七、八三五円

茶畑   〇・二七反 一四、三七五円   三、八八一円

となるのであるが、更に原告には政府売渡米の俵代として次の附随収入がある。

附随収入   一、五二〇円

以上合計 三九一、九四二円

こゝから次の標準外特別経費を控除すると差引所得は次のようになる。

牛費    一六、二〇〇円

共済掛金   三、八〇七円

差引所得 三七一、九三五円

(B) 副業所得

区分 員数 十羽当り所得標準 所得金額

養鶏 二〇羽 四、〇〇九円 八、〇一八円

以上により原告の農業所得合計は、三七九、九五三円となる。

(2) 不動産所得

原告には、昭和三〇年分において、農業所得の外に小作料として金二、九五五円の不動産所得があつた。

よつて原告の昭和三〇年分の総所得金額は、(1)(2)の合計金三八二、九〇八円となる。

(5) 課税所得金額、所得税額、過少申告加算税額

総所得金額より概算所得控除額七、五〇〇円、社会保険料控除額二、六五五円、扶養控除額一〇五、〇〇〇円(四人)及び基礎控除額七五、〇〇〇円を控除すると課税総所得金額は一九二、七〇〇円(一〇〇円未満切捨)となり、これに対する所得税は四五、八五〇円となる。ところが総所得金額を三一九、五〇〇円とし所得税額を二六、五〇〇円とする本件更正処分はその範囲内で行われたものであるから適法である。

又原告は被告に対しその昭和三〇年分所得税額が零であるとの確定申告書を提出したので、被告の更正した額との増差税額二六、五〇〇円に対し、所得税法第五六条第一項の規定により百分の五を乗じて計算した一、三〇〇円(増差税額の一、〇〇〇円未満は切捨、同条第六項)に相当する過少申告加算税を徴収決定したこともまた適法である。

三、被告の答弁に対する原告の反論

(一)  原告の昭和二九年分の所得金額が金三〇六、五二八円であつたことを否認する。当年度の所得はもつと少いものであつたが、被告がその様に定めたので止むなくこれに従い納税したに過ぎない。

又原告が所得金額の計算上必要な帳簿、書類、耕作日誌を備えていなかつたとの点も否認する。これらの書類は備えてあつたが、被告が提出を求めなかつたので提出しなかつたに過ぎない。これに基いて原告の収入、支出を計算すると別表(二)のとおりである。従つて原告の所得を被告主張のとおり推計するのは不当である。

(二)  種類別耕作反別及び副業所得の基本員数に対しては別表(一)記載のとおり答弁する。養鶏の点は否認。

(三)  被告の主張する原告の所得中附随収入及び不動産所得は認めるが、その余は否認する。原告の所得は別表(二)記載のとおりである。

(四)  原告には他の普通の農家と違つて次のような特殊の事情があつたので、被告主張のように農業所得標準を適用するのは不当である。

(1) 原告は寡婦であつて昭和二九年度まで作男を雇つて耕作したが、昭和三〇年度はこれを雇うことができず、他の臨時雇も極めて困難であつたため原告、長男好次、長女きよ子の三名が農業に従事したが、労働力が不足したうえいずれも農業に不馴れて十分な収穫をあげることはできなかつた。

(2) 原告の耕作田は、砂利田で水持ちが悪いうえ水利の便が悪いので例年近所並の収穫はなかつたのであるが、昭和三〇年度は未曽有の大旱魃のため稲の作付に困難を来し、補水のためポンプを買つたが資金不足のため電力線引込ができず結局補水不能に終つたので、同年度の水稲は特に不作であつた。

四、原告の反論に対する被告の再反論

原告の耕作田が近隣に比し不作であつたとの原告の主張は否認する。

(一)  原告は農家に生れ、農家に嫁し今日まで引続き農業に従事しているもので、農業経営に豊富な経験を有している。また長男好次(昭和六年生)、長女きよ子(昭和一〇年生)の両名は血気盛んな青年であつて労働力も十分である。原告方の収穫が特に近隣の農家に比べて劣るとは考えられない。

(二)  原告耕作の田は砂利田ではない。かりにその僅少部分が砂利田であるとしても他の田に比し特に収穫が少かつたものではない。一般に砂利田所謂漏水田は水引がよいので裏作には好適であると云われている。また水利の便も悪いものではない。

第三、証拠方法並びに書証の成立についての認否〈省略〉

理由

一、原告が川越市小室町五八八番地において農業を営んでいること。原告が昭和三一年三月一五日被告に対し昭和三〇年分所得の確定申告として総所得金額を金一二三、九三〇円(内訳農業所得金一二〇、九七五円、不動産所得二、九五五円)所得税額零と申告したところ、被告が昭和三一年六月一〇日右総所得金額を金三一九、五〇〇円と更め、これに伴い昭和三〇年分の所得税額を金二六、五〇〇円、過少申告加算税額を金一、三〇〇円と更正し、同日これを原告に通知したこと、そこで原告は同月二八日被告に対し再調査の請求をしたが、被告はこの請求を棄却し、昭和三一年八月一八日この旨を原告に通知したこと、原告はこれに不服で同年九月一〇日関東信越国税局長に対し審査の請求をしたが、同局長はこの請求を棄却し、昭和三二年七月三日この旨を原告に通知したことは当事者間に争いがない。

二、被告は、原告には係争年度におけるその所得を明かにする帳簿等が無かつたので、耕作反別等によりその所得を推計したと主張するに、原告は、かゝる帳簿等を備えていた以上推計の方法によることは許されないと抗争し、その帳簿等とし甲第七号証、同第八号証等を提出するので、まずこの点について検討する。

証人米倉是の証言によれば、原告の再調査の請求に対し同証人が原告方を訪れ、係争年度の所得を明かにする全ての帳簿類の提示を求めたのに対し、原告は農協の預金通帳一冊、係争年度の日記帳一冊を提示し、他には無いと云つていたことが認められる。更に証人佐竹一三の証言によれば、原告の審査請求に対し同証人が原告方を訪れた際も、同証人の要求にもかゝわらず一部領収証等を提示したのみで、係争年度の所得を明かにするに足る帳簿類の提示をしなかつたことが認められる。普通税務官庁の処分に対し、再調査の請求、審査の請求をした場合には、請求者は自らその収支を明かにする帳簿類を提示し税務官庁の処分の非を主張するものであるのに、原告は何らこれを為さず剰え税務署側の求めにもかゝわらずこれを示していない以上、原告には係争年度の所得を明かにするに足る帳簿類の備えが無かつたものと認めなければならない。証人長谷川好次の証言並びに原告本人尋問の結果中これに反する部分は、いずれも措信しない。とすると原告が係争年度の所得を明かにする帳簿として提出する甲第七号証(農業日記)、甲第八号証(自家消費日記帳)は、いずれもその成立自体認めることができないのである。更に原告が係争年度の収支を明かにする資料として提出する領収書等をもつてしては、その所得を明かにするに十分ではない。

以上認定のとおり原告には係争年度の所得を明かにするに足る帳簿類が無かつたのであるから、原告の耕作反別等より原告の所得を推計する方法をとつた被告の措置は、まことに相当であつてこれを非難することはできない。

三、原告が係争年度において耕作していた田畑については、別表(一)中(一)水稲につき、大字小室小字明ノ前二七二番の二、同二二三番(二)裏作につき、大字小室小字明ノ前二七二番の二、同二八一番、同二八〇番、大字小室小字宮ノ腰三〇六番、(三)普通畑につき、大字小室小字石塚五八八番、(四)茶畑を除き、別表(一)記載のとおり原告において耕作していたことは当事者間に争いがない。

そこで争いとなつている前記田畑の耕作の有無並びに養鶏の飼育の有無について判断する。

(一)  水稲……大字小室小字明ノ前二七二番の二、同二二三番の全てにつき原告が耕作していることは当事者間に争いがないが、その地積が、被告はそれぞれ一反一畝七歩、二五歩であると主張するのに対し、原告は一反二八歩、一五歩であると争うけれども、成立に争いのない乙第二号証によればいずれも被告主張のとおりの地積であることが認められる。

(二)  裏作……大字小室小字明ノ前二七二番の二については、水稲につき(一)において認定したとおりである。大字小室小字明ノ前二八一番、二八〇地、大字小室小字宮ノ腰三〇六番については、それぞれの地積については当事者間に争いがないが、原告は係争年度にはこれらを作付しなかつたと争うが、成立に争いのない乙第九号証、同第一〇号証によれば、被告主張のとおり前二者についてはその全部に、最後のものについてはその半分に作付したことを認めることができる。

(三)  普通畑……被告は、原告が大字小室小字石塚五八八番の宅地内に三畝一一歩を普通畑として耕作したと主張するのに対し、原告はこれを争うが、成立に争いのない乙第五号証によれば、原告は宅地内に三畝一一歩を係争年度においても普通畑として耕作していたことを認めることができる。

(四)  茶畑……被告は、原告には大字小室小字石塚五八八番の宅地内に二反二畝一歩の茶畑があり、係争年度においてもこれを耕作したと主張し、原告はこれを争うが、成立に争いのない乙第五号証、同第一〇号証、同第一七号証によれば被告主張のとおり原告においてはこれを耕作し収穫していたことを認めることができる。これに反する証人長谷川好次の証言、原告本人尋問の結果はいずれも措信しない。

(五)  養鶏……被告は、原告が係争年度においても成鶏の雌を少くとも二〇羽飼育していたと主張し、原告はこれを争うが、成立に争いのない乙第一〇号証、同第一三号証並びに証人藤本作太郎の証言を綜合すれば、原告は係争年度においても少くとも二〇羽の成鶏の雌を飼育していたことを認めることができる。これに反する証人長谷川好次の証言並びに原告本人尋問の結果はいずれも措信しない。

右認定を動かすに足る証拠はない。とすれば被告主張のとおり、原告は係争年度において、水稲一町一畝二歩、裏作五反七畝七歩、普通畑四反二畝二二歩、桑畑五反二九歩、茶畑二畝二一歩を耕作し、副業として養鶏二〇羽を飼育していたこととなる。

四、成立に争いのない乙第三号証、同第四号証、同第六号証によれば、昭和三〇年度の川越市の農業所得標準は、一反当り水稲一七、六八四円、裏作四、〇四七円、普通畑一八、〇四〇円、桑畑二一、一八六円、茶畑一四、三七五円であり、養鶏十羽当り四、〇〇九円であることが認められ、これは被告が原告の所得推計に適用した農業所得標準と同一である。

そこでこの農業所得標準そのものが、当該年度の所得標準として適当なものであつたか否かについて考えてみる。成立に争いのない乙第七号証、同第一二号証及び証人佐竹一三、同藤本作太郎の各証言を綜合すると、昭和三〇年度の川越地区は一般に水害、虫害の被害なく豊作で、原告の所在する川越地区では前記所得標準率を適用した農家で不服申告をしたものは原告の他にはなく、前記所得標準率は一般的に適正妥当なものであつたことが認められる。

五、原告は、係争年度においては、労働力が不足したこと、農業に不馴れであつたこと並びに原告耕作田で砂利田であるうえ水利の便が悪いことを理由に、普通農家並の収穫をあげられず、従つて普通農家並に農業所得標準を適用するのは不当であると主張するので、この点について判断する。

成立に争いのない乙第八号証乃至第一三号証並びに証人佐竹一三、同藤本作太郎の各証言を綜合すると、原告は、農家に生れ農家に嫁いで、昭和二〇年頃夫死亡後は専ら一家の中心となつて農業を経営して来たものであり、長男好次も幼少より農業を手伝つて育つて来たもので、いずれも農業に不馴れとは云えないこと、係争年度においては、原告、長男好次、長女きよ子の三名で田畑約一町八反を耕作していたもので、労働力に若干の不足が感ぜられるが、長男、長女の勤労によつてそれがため格別作柄に影響するものでなかつたこと、水利の便が悪く水不足に悩むことのなかつたこと、又原告耕作田には多少の砂利田、漏水田があるが潅漑に気をつけたことによつて別段収穫に影響がなかつたこと、全般に世間並の作柄で豊作であつたことを認めることができる。右認定に反する証人長谷川正次、同長谷川好次の各証言並びに原告本人尋問の結果はいずれも措信しない。

六、斯様に原告の係争年度における収穫が、世間並で特別の事情もなかつたのであるから、被告が前記所得標準率を適用し、原告の所得を推計したのは、まことに当を得たものであつたと云わなければならない。

そこでその計算関係について検討する。

原告において俵代の附随収入一、五二〇円及び小作料の不動産所得二、九五五円であつたことは当事者間に争いがない。

原告の耕作反別が前認定のとおりであるから、これに前記農業所得標準率を適用すれば、原告の水稲は、一七八、六〇八円、裏作は二三、〇六七円、普通畑は七七、〇三〇円、桑畑は、一〇七、八三六円、茶畑は、三、八八一円の所得となり、これに前記附随収入を加え特別経費たる牛費一六、二〇〇円及び共済掛金三、八〇七円を控除すれば、その差引所得は三七一、九三五円となること計算上明かである。

更に前認定のとおり、原告は係争年度において養鶏二〇羽を飼育していたから、これに前記所得標準率を適用すれば八、〇一八円となり、そのうえ前記争いのない不動産所得を加え以上を総計すると、原告の総所得金額は三八二、九〇八円となる。

右総所得金額より、概算所得控除額七、五〇〇円、社会保険料控除額二、六五五円、四人分の扶養控除額一〇五、〇〇〇円及び基礎控除額七五、〇〇〇円を控除すれば、課税総所得金額は一九二、七〇〇円(一〇〇円未満切捨)となり、これに対する所得税は四五、八五〇円となることも又計算上明かである。従つて総所得金額を三一九、五〇〇円とし所得税額を二六、五〇〇円とする本件更正処分は、いずれも前記認定額の範囲内でなされたものであるから、適法である。

又原告が被告に対し、係争年度の所得税額が零である旨の確定申告をなしたこと、これに対し被告が、原告の所得税額を二六、五〇〇円と更正したこと当事者間に争いがなく、その更正処分が適法であるから、その増差税額は二六、五〇〇円となる。所得税法第五六条第一項によれば、その増差税額(一、〇〇〇円未満は切捨)に百分の五の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税額を徴収すべき旨定められているから、被告がそれに則り一、三〇〇円の過少申告加算税の徴収を定めたのも又適法である。

以上のとおりであるから、本件更正処分の違法を理由とする原告の本訴請求は、全て理由がないことになるので、これを棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡岩雄 田中加藤男 近藤和義)

(別紙省略)

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